「はっきりと言葉で説明できる場合にかぎってそうしてください。」最近読んだ本「ノンデザイナーズ・デザインブック」の一節で、デザインする時には、すべての要素をなぜそうしたのかを説明できなければならないということを説いた言葉。
シンプリストだろうとミニマリストだろうと、どちらを名乗ろうが自己満足なので個人の自由。しかし、ノンデザイナーズ・デザインブックを通して、私自身がなぜシンプリストを選んだのかがはっきりとした。
シンプリストとミニマリストとは?
「シンプリストは単純化を求め、ミニマリストは最小限を求める。」というのが、個人的な理解。しかし、最小限は最も単純であるとも思う。そうすると、シンプリストもミニマリストも言い方が違うだけで、結局は同じなのではという思いがあった。
今までは「捨てる」に重きを置きたくないから、シンプリストを目指す(はじめにを参照)と思っていた。しかし、よく考えると言いようの違いだけの気もする。
ノンデザイナーズ・デザインブックを読むことで、漠然としていた違いがはっきりとした。
共通点
シンプリストもミニマリストも物にこだわる点では同じ。すべての持ち物について、なぜそれを持っているのかを説明できるはず。説明できない物は間違いなく不必要な物で、最小限にも単純化にも邪魔になる物。
私も無駄にしない方法で、持っている理由を説明できない物を減らす努力をしている。そういう点では、私はシンプリストでありミニマリストなのだと思う。いつか持ち物をすべて把握して、なぜそれを持っているのかを説明できるようになった時に、初めて胸を張ってシンプリストを名乗れる気がする。
相違点
物を厳選して、お気に入りの物に囲まれて生活するのは、シンプリストもミニマリストも変わらない。では何が違うのか?
マーケティングの用語で「ニーズ (Needs)」と「ウォンツ (Wants)」という言葉がある。マーケティングの定義とは異なるが、「生活に必要なものを欲するニーズ」と「必要ではないけど欲しいウォンツ」と個人的に考えている。
シンプリストにもミニマリストにも関係なくニーズは必要なので、この点でも違いがない。違いがあるのがウォンツの部分。ミニマリストは限りなくウォンツを小さくする。それに対して、シンプリストはウォンツを許容する幅が広い。シンプリストとミニマリストの違いは、持っている理由にウォンツをどこまで許容できるかということ。
服の例が分かりやすい。ミニマリストは私服の制服化をすることで数を減らしている。モノトーンでまとめるなど、必要最低限のニーズに集中した服選び。対して、シンプリストは制服化のように合理的に服を選びながらも、数点合理性を無視したアイテムを追加する。そうすることで、ファッションを楽しむ幅が広がる。服を選ぶ際、私は一点明るい色を取り入れるのが好きなので、必要最低限以上の服を持ちたい(シンプリストを目指す男が考える理想の服の数を参照)。その点で、私はミニマリストではなく、シンプリストなのだと思う。
定義
ノンデザイナーズ・デザインブックを通して、私なりに導きだしたシンプリストとミニマリストの定義がある。それに加え、シンプリストとミニマリストが他の人たちとどう違っているのかもはっきりとした。
- ミニマリスト:すべての持ち物をなぜ持っているのかを説明でき、ニーズにフォーカスした物選びをする。
- シンプリスト:すべての持ち物をなぜ持っているのかを説明でき、ニーズに加えウォンツにもフォーカスした物選びをする。
- その他:なぜ持っているのかを説明できない物を持っている人。「なぜ」の基準が確立されていないので、物選びの基準が曖昧。
これはあくまで私個人の定義なので、各々の納得できる定義を考えてみてほしい。そこに自分の理想とする未来像があるはず。
まとめ
最初に書いたようにシンプリストを名乗ろうが、ミニマリストを名乗ろうが自己満足なので、個人の自由。またどういう基準で物を選ぶかも個人の自由。今回はあくまで、私自身がなぜシンプリストを目指したいと思ったのかということについて書いた。
私は自分のすべての持ち物を把握したいし、遊びの部分も持ち合わせていたいのでシンプリスト。今は「その他」だが、少しづつシンプリストに近づいていきたいと改めて感じた。