副業の流行りやNISAの登場で、投資に関心を持つ人も多い。シンプルライフの一環として、経済的自立も目指している私たちにとっても投資を理解することは必要不可欠。(経済的自立の定義に関しては、シンプリストと経済的自由を参照。)
会計士として得た知識で、「投資とは?」ということについての私の考えをまとめる。
投資とは?
将来的に資本を増加させるために、現在の資本を投じる活動を指す。
Wikipediaでは上記の意味で定義されている。大学時代のファイナンスの教科書にも同様の意味で定義されていたと記憶している。ちなみに、「資本=お金」ではないということに留意。お金は資本の一部ではあるが、全てではない。時間や土地などのお金以外のものも含めて資本。
投資にも分け方次第でいろんな種類があると思うが、個人的には2つに大別される。自分に対する投資と他人に対する投資。
自分に投資
大学に行くための学費や、勉強のために費やす時間などが自分への投資になる。学歴が高いほど平均給料も高くなる傾向がある。学校生活で得る友人も、人生を豊かにしてくれるという意味では、学費を払って得られる恩恵。
他人に投資
会社やクラウドファンディングを通して、人の活動に対して投資すること。人の活動にお金や時間を提供することによって、利益の一部を受け取る。株式への投資は、会社が活動から得る利益の一部をもらう。債権も株式とは違った形での国や会社に投資をする方法。
投資と経済的自立
経済的自立をするためには、会社に頼らず自分で稼いだ 収入で生活しないといけない。そのためには、収入を増やすか支出を減らさないといけない。投資と聞くと収入を増やすということに重きが置かれてしまうが、支出を減らすということも立派な投資。会社が経費削減のために新しいシステムに投資したりすることと同じ。
前の項の自分と他人への投資の分類を加えることで、投資を4種類の性質に分類することができる。
投資先 | |||
---|---|---|---|
自分 | 他人 | ||
経済的自立 | 収入増 | 自分に投資で収入増 | 他人に投資で収入増 |
支出減 | 自分に投資で支出減 | 他人に投資で支出減 |
自分に投資
収入増
金融商品(他人への投資)の勉強をしたり、能力を高めて個人的に(フリーランスとして)仕事がもらえるようになる必要がある。人によっては大学院に進学するという投資をした方が良い人もいるかもしれない。自分の価値を高めることで、効率的に収入を得られるようになるが、労働量と収入には比例関係がある。
支出減
省エネの家電に買い換えることで、電気代を減らすことができる。他にも、料理教室に通うことで、外食の機会を減らしたり、節約料理のレパートリーが増えるかもしれない。1,000円の電球を買って電気代が年間1,000円安くなれば、100%の利子とほぼ同等。同様に1,000円の節約料理の本を買って、月1,000円食費を節約できれば、年利1,200%の利子と同等。
他人に投資
収入増
株や債権などに投資することで、給料以外の収入を得ることができる。また、他人への投資は自分の労働とは別のところで収入が発生するので、対価に対する時間的な拘束も少ない。会社に頼らない上に、自分の労働量にも影響されない。
支出減
他人への投資で支出を減らす例としては、株主優待やクラウドファンディングの活用がある。株主優待では割引券をもらえることがある。クラウドファンディングでは出資が早いほど安く買えたりする。安売りの広告を見る感覚で、利用しやすい株主優待や欲しいアイテムをクラウドファンディングで探せば、他人へ投資することで支出を減らすことができる。
投資の優先順位
投資と経済的自立の項で示した4つの分類を、リスクと税金の面で個人的な見解を下の表にまとめた。
投資先 | |||
---|---|---|---|
自分 | 他人 | ||
経済的自立 | 収入増 | 他人に影響されにくい 納税義務あり | 他人に影響されやすい 納税義務あり*¹ |
支出減 | 他人に影響されにくい 納税の義務なし | 他人に影響されやすい 納税義務あり*² |
*1: 雑所得が20万円を超えないなどの基準を満たせば非課税になることもある。
*2: *1同様。またクラウドファンディングなどでの割引に関しては非課税。
上記の表を元に、私なら以下の優先順位で投資をする。
- 自分に投資して支出減:他人の影響が少なく、自分でリスクをコントロースできる上、税金の発生しない。
- 自分に投資して収入増:他人の影響が少なく、自分でリスクをコントロールできるが、税金分節約より損。
- 他人に投資して支出減:自分でリスクをコントロールしにくいが、税金が発生しない場面もある。
- 他人に投資して収入増:自分でリスクをコントロールしにくい上、税金も発生。
10%以上の利子のある金融商品を見つけるのは、至難の技。しかし、節約では10%以上の利子は意外と簡単に見つかる。良い投資話を見つける努力をする前に、生活費を削る知恵や知識を見つけた方が、お得な場合が多いと個人的には思う。
まとめ
一般的に投資というと株、債券、仮想通貨から収入を得るという印象が強い。しかし、投資という言葉の意味を知ることで、節約も広義の意味で投資の一部であることが分かる。
ミニマリストやシンプリストの人たちが生活費を削る努力をしていることは、投資の観点から見てもとても合理的だった。私の家族にとっての理想のシンプルライフのために、最適な投資(節約含む)選択をしていきたい。