写真ができるまで

自分の撮影した写真を見返して、「いい」と思えないのはなぜだろうか。写真が実体験を超えることは難しい。しかし、知識を増やすことで、その差を確実に縮める事はできる。

実体験と写真の差

実体験と写真にはどうのような違いがあるのだろうか。下の2点が主な違いだと思う。

  • 目とカメラ(撮影素子)の性能の違い
  • 「(際限なく)五感を使って感じる体験」と「(限定された範囲を)視覚のみで訴える写真」

例えば、山から夕日の写真を撮影したとする。目では全体がはっきりと見えていた景色が、写真では一部が暗すぎるといった経験はないだろうか。または写真の中の夕日を見ても、実際に五感を使って感じた夕日と比べると物足りなかったことはないだろうか。

もちろん、写真は視覚以外の五感を記録することはできないし、視覚も人間の目に比べるとその性能は見劣りする。しかし、写真ができるまでの流れを知ることで、写真の被写体を実体験に近づける道筋を見いだすことができる。

写真ができるまでの流れ

すべて写真は完成までに以下の4つのステップを経る。最後の現像については、「したことない」という人も多いだろうが、デジタルカメラが内部で人知れず自動処理を行っている場合が多い。

  1. 被写体と出会う
  2. 写真の構図どう撮るかを決定する
  3. 2で決めたことを元に、カメラの設定を決め撮影する
  4. カメラと実物の差を埋めるために現像する

被写体と出会う

当たり前だが、家に引きこもってばかりではシャッターチャンスに遭遇する可能性は低い。多くの場合、写真に収めたいと思える被写体と出会うためには、自発的に動く必要がある。どんなに写真の腕があったとしても、シャッターチャンスがあるその時にその場にいなければ、写真に収めることはできない。「いい写真」は地道に足で稼ぐ必要がある。

写真の構図とどう撮るか

被写体に出会えたら、それをどう表現するかを考えなければならない。写真では視覚以外の五感に制限があるので、視覚以外で得た情報をどうやって視覚に反映させるかを考えると、より実体験に近い写真を撮ることができる。

構図とは写真の構成のことで、何をどこに配置するかということ。被写体をいつも写真の真ん中に配置するだけでは、納得できる写真になる可能性は低い。構図に関しては基本的に下の3つのポイントを決める必要がある。

  1. 被写体の大きさ(または背景の範囲をどうするか)
  2. 被写体の位置(写真の真中に置くのか、右に置くのか等)
  3. アングル(上下左右どこから撮るか)

どう撮るかとは、写真の雰囲気をどうしたいかということ。色々な方法があると思うが、基本的なものは下の4つ。

  1. 明暗(自然な明るさにしたい、明るめや暗めに撮りたい等)
  2. (自然な色に撮りたい、秋っぽく赤を強調したい等)
  3. 動き(走る動物を止めて撮りたい、水の流れを滑らかに撮りたい等)
  4. ボカし(景色全体に焦点を合わせたい、被写体のみに焦点を合わせ背景はボカしたい等)

カメラの設定

構図が決まれば、どこから被写体を撮影するかが決まる。そして、どう撮るかが決まれば、カメラの設定が決まる。

ここで覚えておかなければならない事は、カメラは私たちの目ほど性能が良くないと言うこと。正しい設定にしても、目で見た被写体と写真の中の被写体の見え方が違うということがよくある。

現像

カメラ屋でフィルムを現像したことがあるかもしれない。デジタル写真に関する現像とは、カメラが記録した生データ(非画像データ)を画像データ(主にJPEG)に変更すること。

現像は手動でも、デジタルカメラに任せることもできる。スマホで撮った写真の多くがJPEGファイルだが、それはすでに自動で現像が行われたということ。自動の現像は便利だが、機械的な処理のため、思いと異なる写真になる場合も多い。しかし、カメラの限界を理解した上で、生データを手動で現像する(画像ファイルからでも可)ことによって、写真をより実体験に近づけることができる。

まとめ

写真ができるまでの4つのステップを意識することで、今までの「イマイチ」が、見違えるほど「いい」に変わる。「いい写真」を撮ることで、思い出を今までより身近に感じるようになる。